システム導入の難しさとIT人材不足

DXとはデジタルトランスフォーメーションのことで、デジタル技術を用いてビジネスモデルと柔軟に改変する役割を持ちます。DXは介護業界にも導入が少しずつ進み、介護DXという言葉も生まれています。介護DXによって業務の効率化が期待でき、介護を受ける側と介護する側の双方が恩恵を受けることができます。ただし、DXを導入するには、いくつかの課題があります。

経済産業省のDXレポートの「DXを実行する上での現状と課題」という部分で言及されている課題の1つは、現行システムのブラックボックスの状態を解消しないとデータが十分に活用されず、DXを導入できないという点です。現行システムのブラックボックス状態は、既存システムのドキュメントが不足していて、機能や仕様が分からなくなっている状態を言います。

機能や仕様が分からないと、既存のシステムの改修や保守業務の引継ぎが困難になります。また、ブラックボックス化していると、アウトソース化ができない、といった問題も生じます。既存システムを刷新するとしても、長い期間とコストがかかるので、経営にも支障が出る恐れがあります。

もう1つの課題は、IT人材が不足していることです。これは、多くの介護施設や事業所に共通していることなので、介護DXに踏み切れないところが多くあります。導入したとしても、保守運用者が不足していると、セキュリティ面でのリスクも高まります。DX人材を育成することもできますが、それに伴いコストの問題も生じます。